レーサム田中剛代表取締役社長、ブレなく取り組むオフィスの重要性は?働く職場の環境を重視するレーサム田中社長の考えを解明。

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不動産をうまく活用し、ユニークな試みで新たな資産価値を生み出し、資産運用を行っていく事業を展開している株式会社レーサム。1992年に株式会社レーサムリサーチが立ち上がり、そこから株式公開を行ってから現在のレーサムに商号が変わります。この商号が変わる時期にレーサムは本社移転を行っています。現在取締役会長を務め、当時は代表取締役社長だっや田中剛さんは、本社移転に対して相当な思いを抱いていました。田中剛さんはどんな思いを抱いていたのでしょうか。

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私たちにとって仕事場は戦場であり、仲のいい相手を見つける場でもなければ、社内恋愛をするために探すものでもありません。しかし、仕事場がエネルギッシュあふれ、コミュニケーションが円滑に進みやすいところであることが求められます。そんな中、大胆にオフィス移転を行い、変革につなげていった会社が存在します。それが株式会社レーサムです。

オフィス移転を機に会社名を変更するなどオフィス移転を1つの契機にしたかったと考える田中剛さん。誰に何を言われようともオフィスの大切さを理解し続け、周りもその理解を確認していくようになります。田中剛さんとオフィス移転についてご紹介します。

 

田中剛さんはなぜオフィス移転が必要だと思ったのか

意外なことに、オフィスに無駄な金はかけないと豪語する田中剛さん。現在のレーサムのオフィスを見る限り、とても無駄な金をかけないと経営トップが言っているとは思えない現状が広がっていました。バーカウンターもあれば、ラウンジもつき、ラグジュアリーも立派。とてもおしゃれで、富裕層向けの商売を展開しているのも納得できる環境がそこにはあります。

とはいうものの、田中剛さんからすれば、愚直にマジメに、そしてコツコツと積み重ねてきた結果が今であり、決してド派手に最初から手広くやってきたわけではありません。たとえ手狭になってもコスト削減を心がけ、贅沢なんてもってのほかというスタイルだったため、社員が増えても手狭な状態だったようです。そんな田中剛さんがなぜオフィス移転を必要だと感じたのか。

結局注目が集まれば集まるほど、海外からも機関投資家が足を運ぶようになり、当時の会社をチェックします。しかし、満足に話ができるスペースがなく、数億円単位の案件を扱っているところは思えない手狭さに対し、これではいかんと田中剛さんは考えるようになります。順調に成長を重ね、株式上場も果たした以上、さらなる進化のためにオフィス移転に対する投資は正当なものであると考え、実行に移すのでした。

 

全てを幹部に委ねた田中剛さん

田中剛さんにとって、オフィス移転は変革のために必要なことであると考えた一方、やはりお金のことをついつい言ってしまいそうになるため、オフィス移転に関してはすべてを幹部に委ねることにし、田中剛さんはできるだけ関与をしないように決めました。意見をするにしても、レーサムの1人の社員として意見を言う程度にするなど、これまで強烈なリーダーシップでレーサムをけん引してきた田中剛さんからすれば相当な決断だったようです。

新たに確保したフロアの広さはこれまでの1.3倍。以前も十分広かったこともあり、そこまで広くなったわけではありません。レーサム側はコミュニケーションをいかに活発にさせるかを考え、奥行きのあるオフィスにしたいと考えていました。こうした要件を踏まえた上でオフィス移転を取り仕切る業者におまかせ。独特なレイアウトの確保、入り口を1か所に固定して動線をはっきりさせながら、幹部と社員のスペースを切り離したことなど、様々な案が出てきます。

中でもオフィスゲートと呼ばれるスペースは、個人ロッカーを置くだけでなくコンシェルジュサービス、打ち合わせスペースなどありとあらゆるものをまとめ、コミュニケーションが活発になるようにしました。そして、もう1つ社長室や幹部の席を集めさせ、それぞれのセクションのトップが集まってやり取りが行えるようにしたことで、コミュニケーションがかなり活発になったとのこと。田中剛さんが考えていたことは具現化されたといっても過言ではありません。

田中剛さん曰く、役員同士の会議ですら社員が見える場所でオープンな環境で行われるようになり、社員が今どんな状態で何を目指しているのかがすぐ分かる状態になっており、それが大きいと考えています。幹部の席と社員の席が離れていても、近くには打ち合わせスペースがあるため、そこで話し合いを済ませればよく、以前よりも仕事の効率が上がったそうです。

 

リーマンショックが襲い掛かってもオフィスは守った田中剛さん

2008年にオフィス移転を行い、社名もレーサムリサーチからレーサムに変わり、田中剛さんもホッと一安心です。しかし、一安心したのもつかの間、不動産業界に衝撃を与える事件が起こります。それがアメリカで発生したリーマンショックです。これを機に景気が一気に悪化し、日本も大きな打撃を受けることになります。立派な場所にオフィスを構えて間もないレーサムにとっては大ピンチでした。

しかし、田中剛さんからすれば会社を大きく変える、変革のためにお金を惜しまずどんどんオフィスに投資を行うことを決めていました。自らもオフィスにはあまりお金をかけず、必要最低限なもので問題はないと考えていたため、株主総会などでオフィスに関する批判が出ても、明確な理由があるためにこれを突っぱねます。せっかく部下たちに任せ、お金のことを一切口を出さずにしてきたのに、こんなことで引っくり返るのは避けたいと考える部分もあったようです。

そして、少しでも業績を回復するべく、必死に活動を重ねていきます。田中剛さんが期待していたオフィスの効果がかなり出始め、オフィスを変えてよかったと誰しもが思える状況になっています。確かにリーマンショックで大変な状況になったことは間違いないですが、決して後ろ向きにならず、前向きに取り組み続けた田中剛さんの粘り勝ちと言ってもいいでしょう。

 

まとめ

オフィス移転によって段々と社員たちの顔つきが変わっていき、より真剣に仕事に取り組むようになったと田中剛さんは振り返ります。職場をよりよくすることはとても素晴らしいことであり、令和に入った今ならば多くの企業が賛同するはずです。しかし、リーマンショック直前の時期はまだオフィスの重要性、機能性を考えている企業は少なく、レーサムの田中剛さんはそれを先行した形になります。

10年以上経過した現在もレーサムは同じ場所で仕事を続けており、当時よりも価格帯が上場し、10億円以上の案件を扱うことも普通になってきています。案件の額面とレーサムのオフィスが見事に釣り合っており、案件にふさわしい場所で多くの社員が働いています。田中剛さん自身は取締役会長として働いていますが、このオフィス移転ですべてを委ねた幹部たちが今、代表権をもって会社を引っ張っています。田中剛さんが考えていた青写真は思い通りな状態になっているかもしれません。